栗林公園 偃月橋(えんげつきょう)
江戸時代初期、南湖一帯を築庭したときにかけられた園内でもっとも大きい橋である「偃月橋」を紹介します。
2023年3月、約20年に一度行われる偃月橋の架け替え工事が完了しました。
偃月橋(えんげつきょう)
栗林公園を代表する景観といえば、飛来峰(ひらいほう)からの眺めですが、紫雲山を借景にして、眼下から奥に広がる南湖にかかる美しい大円橋が偃月橋(えんげつきょう)です。偃月橋は、江戸時代初期、南湖一帯を築庭したときにかけられた園内でもっとも大きい橋です。弓張り月が湖面に映る姿に似ていることから「偃月」と名付けられました。
約20年に一度行われる架け替え工事
踏板は美しさと耐久性を兼ね備えたヒノキ材、橋脚は水湿に強く腐りにくいクリ材が用いられています。しかしながら、木造の橋であることから、年月とともに老朽化が進むので、定期的な架け替えが必要になります。偃月橋の架け替えは、約20年に一度行われ、現在残っている記録は次の通りです。
- 1936年(昭和11年)3月
- 1957年(昭和32年)3月
- 1980年(昭和55年)12月
- 2001年(平成13年)3月
2023年3月に架け替え工事が完了し、現在の姿となっています。こちらは、架け替え前の偃月橋です。風雨にさらされた荒々しさもあり、味わい深い姿となっています。
偃月橋の架け替えのようす
2022年9月から2023年3月中旬の予定で偃月橋の架け替え工事が行われました。期間中、偃月橋は通行止めとなりますが、約20年に一度しか見られない架け替え工事なので、この時期に栗林公園を訪れた人は希少な体験となりました。
栗林公園偃月橋改修工事
案内板より
栗林公園偃月橋 立体図・平面図
案内板より
飛来峰から眺める架け替え工事中の偃月橋です。
精度が高く美しく組まれた足場と偃月橋の一枚。
迎春橋付近から眺める偃月橋。南湖の湖面に美しく映っています。
片側だけ取り付けられた欄干。
橋脚と床板を支える横桁(よこげた)の接合部分です。込栓(こみせん)と呼ばれる木の釘で継手(つぎて)の強度を高めています。
横桁の木口(こぐち)には、銅板による化粧が施され、腐食から保護しています。
4本の縦桁(たてげた)による4主桁構造。
橋脚に貫(ぬき)を通し、込栓と両側から楔(くさび)でしっかり止めています。貫の木口にも銅板による化粧を施しています。
反対側の欄干も取り付けられました。真新しい擬宝珠(ぎぼし)が美しく輝いています。
南湖を元気に泳ぐ鯉の姿です。